マイクロスライド イビポア SiN

µ-Slide ibiPore SiN

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よくあるご質問23件

窒化ケイ素製(SiN)多孔質膜で隔てられた二つの細胞培養エリアを有し、細胞の膜間移動や、膜に隔てられた細胞間コンタクトを顕微鏡で観察するためにデザインされたスライド。静置培養だけでなく灌流培養にも対応可能

特長

  • 2つの細胞培養領域(チャネル)が多孔質膜で隔てられた、“クロスチャネル”構造を有する培養/顕微鏡観察用スライド
  • 多孔質膜にはSiMPore社製、窒化ケイ素多孔膜を採用
  • 多孔質膜の膜厚は 0.4 µm(400 nm)。ガラスカバースリップに匹敵する優れた光学特性を有しており、顕微鏡観察の妨げにならないため、膜の上部下部共に鮮明な画像が取得可能
  • 多孔質膜の孔径 は0.5 µm、3 µm、5 µm、8 µm があり、さまざまな細胞サイズや実験用途に応じて選択可能
  • 下部チャネルはibidiポンプシステムに接続することができ、灌流培養に対応可能
  • SiN製多孔質膜は接着細胞を直接播種することが可能です。また、細胞外マトリックスタンパク質等でコーティングすることも可能

μ-Slide ibiPore SiN 特長

µ-Slide ibiPore SiNの構造

µ-Slide ibiPore SiN は、2つのチャネルタイプの細胞培養領域を有するスライドです。
上下に配置されたチャネルは、交点部で多孔質膜を隔てて接しており、膜孔を介して、細胞の移動や、物質のやりとりが可能です。
上部チャンネルは静置培養専用ですが、下部チャンネルは、ibidiポンプなどに接続して灌流培養(フロー培養)に適合でき、メンブレンに接着した細胞に特定のシェアストレスを与えることもできます。
多孔質膜は、化学的にも機械的にも頑強な素材、窒化ケイ素 (SiN) で作製されています。この窒化ケイ素膜は、自家蛍光がほとんどなく、光の透過性にも優れるため、ガラスのように使用することができ、顕微鏡で細胞イメージングを行うのに理想的な素材です。

μ-Slide ibiPore SiNの原理

μ-Slide ibiPore SiNの原理

膜は異なる孔径(0.5 µm、3 µm、5 µm、8 µm)および多孔率(porosity)で構成される4種類のラインナップが用意されています。
使用する細胞サイズや実験目的を考慮しながら適切なものが選択可能です。


多孔率(porosity)とは?

多孔率は膜の体積に対する気孔体積の割合で定義される値です。

空孔率


孔径選択の目安

アプリケーション  細胞タイプの例 推奨細孔サイズ
膜間の透過および輸送実験 内皮、上皮 0.5 µm / 3 µm
細胞極性実験 内皮、上皮、腎臓 0.5 µm / 3 µm
共培養実験 線維芽細胞、内皮、上皮、がん、幹細胞 0.5 µm / 3 µm
細胞移動、走化性実験 内皮、白血球(好中球)、リンパ球(T細胞、B細胞) 3 µm / 5 µm / 8 µm
がん細胞の浸潤、遊走、転移モデル 単球、マクロファージ、リンパ球(T細胞、B細胞)、がん、内皮、上皮、線維芽細胞、骨芽細胞 3 µm / 5 µm / 8 µm

用途

コラーゲン IV コーティングを施した、孔径 3 µm の µ-Slide ibiPore におけるヒト内皮細胞の免疫蛍光染色。 位相コントラスト、DAPI (青)、VE-カドヘリン (緑)、および F アクチン (赤) の重ね合わせ画像。

孔径 3 µm膜状のヒト内皮細胞の免疫蛍光染色画像(DAPI:青、VE-カドヘリン:緑、F アクチン: 赤)
メンブレンにはコラーゲン IV コーティングを施している。
孔を観察するために位相コントラスト画像を重ねた。


内皮バリアモデル作成

µ-Slide ibiPore SiNのメンブレンは、両面を培養面として使用できます。


内皮バリアアッセイ
下部チャネル、メンブレン上での細胞培養


内皮バリアアッセイ
細胞層に対するシェアストレス付与


内皮バリアアッセイ
上部チャネル、メンブレン上での細胞培養


共培養アプリケーション

メンブレンの上下で同時に細胞を単層培養すれば、共培養系を作成できます。
シグナル伝達や物質輸送の実験系を組むことができます(たとえば、上皮または内皮バリアを通過する薬物輸送の分析)。


共培養および細胞バリアアッセイ
メンブレンを挟んだ異なる種類の細胞を共培養


細胞極性アッセイ

µ-Slide ibiPore SiN では、3D ゲルマトリクスを用いた培養にも使用できます。
メンブレンの反対側で単層培養を行えば、3Dゲルマトリクス内部の化学因子により、細胞単層の分極が起こります。


頂端-基底細胞極性アッセイ
メンブレン下側で細胞を播種し、上部チャンネルに3Dゲルマトリックスを作成


頂端-基底細胞極性アッセイ
メンブレン下側で細胞を播種し、上部チャンネルの3Dゲルマトリックス内でも細胞を培養


膜貫通移動実験 ※技術的に実現可能ですが、実際に検証している使用方法ではありません。

膜を貫通する細胞の移動を観察します。



浮遊白血球の遊出



膜下側に単層培養した細胞上で、浮遊細胞を灌流培養する実験。
血中で浮遊する白血球が細胞層に定着~細胞層を透過する一連のモデル作成。



さらに、3D マトリックスを使用すれば、灌流条件から3D マトリックス内に移動する実験系を組むことができます。
化学誘引物質を産生するがん細胞に向かう白血球の回転、接着、遊出を観察できます。


3D ゲルマトリックスへ埋め込まれたがん細胞に向かう白血球の移動


注意:以下のような実験には使用できないのでご注意ください。

  • 上部チャンネルの灌流
  • 膜貫通流作成
  • 膜を使用したフィルタレーション

 

使用例

Madin-Darby Canine Kidney(MDCK)細胞 および NIH-3T3 細胞の位相差顕微鏡観察

MDCK および NIH-3T3 細胞の位相差顕微鏡検査

µ-Slide ibiPore SiN、孔径 0.5 µm使用
タンパク質コーティング無し
MDCK細胞(左) および NIH-3T3 (右) 細胞
播種後、20時間静置培養した後に、4×対物レンズを使用し、位相差顕微鏡で観察しました。
注意: 0.5 µm の細孔は低解像度の対物レンズでは観察できません。多孔質領域は暗く映ります(画像中央部)。


灌流培養下のHUVEC の位相差顕微鏡観察

フロー下での HUVECS の位相差顕微鏡観察

µ-Slide ibiPore SiN、孔径 3 µm使用
フィブロネクチン コーティングしたメンブレン上にヒト臍帯静脈上皮細胞 (HUVEC)を播種し、ibidiポンプシステムを使用してシェアストレス (10 dyne/cm2)を付与した条件で12 時間培養しています。
位相差顕微鏡、対物レンズ10倍を使用


灌流培養下のHUVEC内、F アクチンの蛍光顕微鏡観察

フロー下での HUVEC の F アクチン細胞骨格の蛍光顕微鏡観察

µ-Slide ibiPore SiN、孔径 5 µm使用
フィブロネクチン コーティングしたメンブレン上にヒト臍帯静脈上皮細胞 (HUVEC)を播種し、ibidiポンプシステムを使用してシェアストレス (10 dyne/cm2)を付与した条件で12 時間培養しています。
緑: F アクチン (ファロイジン)、青: 核 (DAPI)
蛍光顕微鏡、対物レンズ 20 倍を使用

選択ガイド :  ibidiが提供する2つの培養区画の相互作用を観察するためのツール

特性

µ-スライド I ルアー 3D

µ-スライド I ルアー 3D

µ-Slide ibiPore SiN

µ-Slide ibiPore SiN

原理 ゲルによる区分け メンブレンによる区分け
培養底面 ソフトハイドロゲル(コラーゲンやマトリゲルなど) 異なる孔径を持つ硬質膜
顕微鏡観察 使用するゲルの光学物性による制限あり 特に制限なし
灌流培養 ゲル上を灌流可能 下部チャンネルにて灌流可能

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