マルチセルアレイ用マイクロパターンスライド (µ-Slide 8 Well high)

µ-Slide 8 Well With Multi-Cell µ-Pattern

よくあるご質問29件

スフェロイドやオルガノイドをアレイするために最適な細胞接着用マイクロパターンが刻まれたスライド

特長

マイクロパターニングテクノロジーの原理

ibidiポリマーカバースリップに対し、ibidi独自の技術で細胞⾮接着性加工したものを、バイオイナート表⾯と呼んでいます。
このバイオイナートは、⼀般的な超低付着(ULA:Ultra-Low Attachment)表⾯よりも優れた細胞⾮接着性を有しています。
このバイオイナート表面に対し、フィブロネクチンの結合モチーフであるトリペプチドArg-Gly-Asp (Arginine, Glycine, Aspartate/ RGD)を共有結合させることにより、ごく小さい細胞接着パターンを刻む技術がibidiマイクロパターニングテクノロジーです。これにより、空間的に定義された細胞アレイを可能にします。

 

マイクロパターニングについて

  • 極めて安定で、数⽇から数週間の⻑期培養でも効果が持続します。
  • ibidiポリマーカバースリップ、バイオイナート表面の持つ光学性能を妨げず、高解像度顕微鏡観察に適合します。
  • 蛍光観察画像や位相差顕微鏡観察画像に映らず、顕微鏡観察の邪魔になりません。
  • 乾燥安定性があり、スライド表⾯は乾燥しています。

 

RGDパターン上で育つ細胞は?

マイクロパターニングに使用されているRGDトリペプチドは、細胞外マトリックスタンパク質であるフィブロネクチンに由来する配列です。フィブロネクチンは、このトリペプチド配列を介して、多くの種類の細胞(例えば、がん細胞)の細胞外マトリクスへの接着を媒介しています。このため、フィブロネクチン上で成⻑する細胞は、高確率でマイクロパターンに接着します。一方、フィブロネクチンやRGD上では増殖しない細胞は、うまく接着しない可能性もあります。

このために、ご使用する際には、まずトライアルパック (CatNo.ib83802S) をご購入いただき、ご使用予定の細胞が接着できるかご確認されることを推奨いたします。


<接着事例が確認されている細胞>

  • A549 (ヒト肺癌)
  • NIH-3T3 (マウス線維芽細胞)
  • MC3T3-E1(マウス骨芽細胞様細胞)
  • BEAS-2B (ヒト肺上皮細胞)
  • CHO (チャイニーズハムスター卵巣)
  • NCI-H441(ヒト肺腺癌)
  • HEK-293 (ヒト胚性腎臓)
  • HeLa (ヒト子宮頸部癌)
  • HT-1080 (ヒト繊維肉腫)
  • HuH-7 (ヒト肝癌)
  • L929 (マウス繊維芽細胞)
  • MCF-10A (ヒト乳房上皮細胞)
  • MDA-MB-231 (ヒト乳癌)
  • MDA-MB-436 (ヒト乳癌)
  • MDCK.2 (イヌ腎臓細胞)
  • RCC-26 (ヒト腎細胞癌)
  • ARPE-19 (ヒト網膜色素上皮細胞)

 

アプリケーション

マイクロパターニングは、スフェロイドやオルガノイドなど3D細胞研究において、新規の強⼒なツールとなります。

既存技術に多くみられる技術として、底面が曲面のをウェルを使用し、⼀ウェルあたりスフェロイドを作成・培養する⽅法があります。この⽅法では、実験的なn数を稼ぐことに⼿間がかかる上、ウェルごとに⽣じる差が結果に⼤きく影響します。また、底⾯が厚いことが多く、⾼倍率の対物レンズを使⽤しての顕微鏡観察に対応できないことも⽋点です。加えて、湾曲したウェル底⾯は、顕微鏡観察時にフォーカス⾯を広くとることを困難にします。

マルチセルアレイ⽤マイクロパターンスライドでは、培養面上にあるスポット数に準じた個数のスフェロイドを一気に作成することができます(※)。平⾯かつカバースリップ厚で構成される底⾯は、顕微鏡観察において、⾼倍率対物レンズの使用とフォーカス⾯を広くとることを可能にします。このため、マルチセルアレイ⽤マイクロパターンスライドは、スフェロイドを顕微鏡で詳細に観察する際に活躍します。

※スライド上でスフェロイドを作成し、観察するだけではなく、形成済スフェロイドの播種や、播種する条件を調整することで、凝集のない状態(マルチセルのモノレイヤー)の観察にも使⽤できます。

 

  • スフェロイド、オルガノイド、胚様体、および幹細胞などを含む、3次元細胞凝集体の培養
  • 2次元展開(モノレイヤー)された細胞パッチの培養
  • 上記のライブセルイメージングや免疫蛍光染色等
  • トライアルパック (CatNo.ib83802S) を使用した、RGD結合モチーフへの細胞タイプの付着テスト

 

スフェロイドアプリケーション

NIH-3T3細胞(マウス胚線維芽細胞)のスフェロイド形成
µ-Slide 8 Well With Multi-Cell µ-Patternに単一細胞を播種してから14日後
明視野顕微鏡、対物レンズ10倍

NIH-3T3細胞(マウス胚線維芽細胞)のスフェロイド形成
µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternに単一細胞を播種してから14日目
位相差顕微鏡、対物レンズ4倍

 

セル・モノレイヤーアプリケーション

µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternに播種してから24時間後のRCC-26(ヒト腎癌)細胞の免疫蛍光染色
緑:F-アクチン(ファロイジン)
赤:α-チューブリン
青:核(DAPI)
広視野蛍光顕微鏡、対物レンズ10倍

µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternに播種してから24時間後のRCC-26(ヒト腎癌)細胞の免疫蛍光染色
緑:F-アクチン(ファロイジン)
赤:α-チューブリン
青:核(DAPI)
広視野蛍光顕微鏡、対物レンズ60倍

RCC-26(ヒト腎癌)細胞をµ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternで播種してから24時間後、2Dモノレイヤーのための低密度播種
位相差顕微鏡、対物レンズ60倍

ibidi Stage Top Incubatorを用いて、µ-Slide VI 0.4 With Multi-Cell µ-Patternで24時間培養したRCC-26(ヒト腎癌)細胞のライブセルイメージング
位相差顕微鏡、対物レンズ20倍

 

仕様

マイクロスライド スライドの形状

マイクロスライド 8ウェル high

外寸(W×L) 25.5×75.5 mm
ウェルの寸法(W×L×H) 9.4×10.7×9.3 mm
ウェルあたりの容量 300 µL
マイクロパターン 結合モチーフ RGD
パターンの形状
直径 100 µm
ピッチ 500 µm
パターンの配置 六角形
表面処理 Bioinert
パターンの数 ウェルあたり約450

 

マイクロパターンの形状

 

ご使用いただくオイルについて

【対物レンズ用の油浸オイル】

ibidi社で実際に適合が確認されているオイルをご使用ください。

(英語) https://ibidi.com/content/551-immersion-oils-compatible-with-ibidi-labware-products

ibidi社純正品:イマージョンオイル

 

*注意*
適合していないオイルをご使用の場合、プラスチックの接触部分がが白濁したり、脆くなったりする場合があります。

 

 

【培地蒸発防止用の重層用オイル】
ibidi ポリマーはミネラルオイルは適合しておりません。

培養培地にオイル重層される場合は、下記シリコーンオイルをご使用ください。

 

*注意*

適合していないオイルをご使用の場合、プラスチックの接触部分がが白濁したり、脆くなったりします。

(条件により、変化が見られるまでに数時間~数日の時間差が生じる場合がございます。)

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