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  • お客様事例

牛乳を材料にしたダイレクトPCR

麻布大学 獣医学部 動物工学
田中 和明 様

お客様のコメント

クルードサンプルを用いることができるダイレクトPCR用酵素の中には、TM値が比較的高いプライマーを用いて、2ステップPCR(94℃~98℃→68℃ サイクル)を推奨している製品があります。我々の実験系では、3ステップPCR(94℃~98℃→55℃~60℃→72℃)で行っていたため、2ステップPCRタイプの酵素を導入するには、PCR条件やプライマー配列の再検討が必要でした。これに対して、KAPA 3GプラントPCRキットは、当研究室で汎用のPCR酵素KAPATaq Extra PCR Kit(KK3009)で用いている温度条件をそのまま使用する事ができました。
今回の検証により、精製の手間を省略した簡便な品種鑑定を行えることが確認できました。
本製品のようなダイレクトPCRにも使用できる汎用性の高いPCR酵素は有用であると考えます。

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概要

【Cat.No. KK7251、KK7252、8041091001】

日本で飼育されている乳牛の大部分(約99%)はホルスタイン種です。また、乳牛全体に占める割合は1%程度ではありますが、2番目に多い乳 用品種としてジャージー種が利用されています。言い換えると、国産牛乳は、品種の表示が無くても、主にホルスタイン種が生産したものになります。
これに対して、ジャージー種の乳のみを使ったと品種表示されている牛乳(ジャージー牛乳)は、品種表示の無い牛乳よりも高価格帯の商 品として販売されています。
このため、ホルスタイン種由来の乳を含む牛乳と、ジャージー種のみで生産した牛乳を区別できる鑑定法を確立することは、ジャージー牛乳のブランド価値を維持するために重要となります。牛乳の中には、乳を生産したウシのゲノムDNAが含まれているので、これを用いて品種鑑定をする方法が開発されています。
私たちは、黒白斑(ED)の個体の頻度が高いホルスタイン種と、褐色(E+)を基本色とす るジャージー種の毛色の決定因子であるMC1R遺伝子の断片をPCR増幅し、ダイレクトシークエンスおよび制限酵素切断断片長多型を用いて、遺伝子型判定を行っています。
私たちは、これまで、牛乳からのDNA抽出に市販の全血用DNA抽出キット(所要時間90分程度)を用いていました。
抽出の過程を省略できればより効率的な結果方法になるのではないかと期待して、強いPCR阻害耐性を有するKAPA3G Plant PCR Kitsを用いたダイレクトPCRを検討しました。

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