研究で使用できる『クリニカルシーケンス』
技術特集

クリニカルシーケンス とは

クリニカルシーケンスは、次世代シーケンサー(NGS)を用いて、患者個々の疾患関連遺伝子情報を網羅的に解析する医療検査方法です。クリニカルシーケンスによって得られた情報は、疾患を適切に診断し、個々の体質に応じた薬を処方する、いわゆる“オーダーメイド医療”を提供するために活用されています。
このクリニカルシーケンスは、近年、がんゲノムプロファイリングなどとして国内企業からも提供されるようになり、より身近な医療手法としてその活躍の場を広げています。今回は、このクリニカルシーケンスに使用するゲノムライブライリー作製のポイントを解説するとともに、それらのポイントを抑えるために用意された製品ラインナップをご紹介します。

クリニカルシーケンスの
ライブラリー作製技術ポイント

クリニカルシーケンスとしてNGSを医療現場で使用するためには、
正確かつ効率的にゲノムライブラリーを作製する必要があります。

クリニカルシーケンス

1FFPE対応

クリニカルシーケンス

クリニカルシーケンスで取り扱われるサンプルは、主に、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織抽出サンプルと血液サンプルが取り扱われます。FFPE組織サンプルは、核酸の断片化や分解が進むために、高品質のライブラリー作製が難しいとされています。このため、ライブラリー作製には、FFPE対応できるプロトコルを使用する必要があります。

2無駄のない情報取得

NGSでゲノムの特定領域のみを読む場合、読み取り不要なリードは、総リード数に対するターゲットリードの割合を減らすため、「ターゲットの情報を得るために必要なリードが稼ぎにくくなる」、もしくは、「総リード数が大きくなりシーケンスコストが増大する」原因になります。このような場合、ライブラリー作製時に、ハイブリダイゼーションプローブを使用し、シーケンスが必要なゲノム領域のみを選択的にキャプチャー、濃縮する方法が用いられることがあります。この方法を「ターゲットキャプチャー法」と言います。

がんなど特定疾患に関与するとされる遺伝子群を遺伝子パネルと言います。クリニカルシーケンスでは、診断サービスに応じた遺伝子パネルが用意されており、この遺伝子パネル以外の情報は診断材料としない場合がほとんどです。このため、疾患遺伝子パネルをターゲットにしたターゲットキャプチャー法が頻繁に用いられます。

クリニカルシーケンスで用いられるキャプチャープローブには、遺伝子パネルを広くカバーでき、かつ特異性高く捕捉できる性能と、適切に診断するための信頼性が要求されます。このため、いかに優れたプローブをデザインするか、もしくは、いかに実績のあるキャプチャープローブを入手するか、などが重要なポイントになってきます。

クリニカルシーケンス

3多検体対応

クリニカルシーケンスでは、同時に多数のサンプルを扱うことも想定され、取り扱うサンプル間で起こるコンタミネーションにも配慮が必要です。

NGSでは、ライブラリー作成時に、サンプルごとに異なるインデックス配列を付与することで、サンプルを識別して分析に用います。多検体管理の場合、このインデックス配列の性能は、よりいっそう重要になります。また、多検体を扱う場合には、サンプル抽出行程やライブラリー作成キットが自動化対応できることは大きなメリットになります。

4精度を担保する

クリニカルシーケンス

クリニカルシーケンスとして得られた情報は診断に利用されるため、その検査精度を向上させるための技術は非常に重要です。

NGSで得られる情報には、ライブラリー作製の際行うPCRに起因するエラーや、シーケンス自体のエラーが含まれています。これらエラー情報を取り除くことは、疾患関与の遺伝子変異を検出し、それを元に適切な診断をするためには必要です。

分子バーコードは、ライブラリー作製のPCR前のDNAにインデックス配列を取り込ますことによって、目的の核酸分子の一つ一つを識別できるようにする技術です。これにより、同一分子由来のリードを比較分析することができるようになるため、分子バーコード付与後のエラーを解析の際に除去することができるようになります。

クリニカルシーケンスでは、正確な遺伝子変異情報を提供するための技術として、この分子バーコードを採用したサービスが提供されるようになってきています。

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