3. ibidiチャンバースライドの形状

チャンバースライドの形状

チャンバー形状

オープンウェルフォーマット(チャンバースライド)

  • 一般的な形式
  • 取り扱いやすい
  • 大量~少量まで対応可能
チャンバー形状

チャンネルフォーマット(チャネルスライド)

  • Noメニスカス
  • 均一な細胞分布を実現
  • スモールサイズ設計
チャンバー形状

特殊形状

  • 用途に応じた設計
    (濃度勾配を与える、ゲルマトリックスを使用する、など)

実験系に最適な
形状をみつける

細胞を用いる実験系は多様です。ibidi社では、実験系に合わせた様々な形状の容器を提供しています。それら全てにおいて、高度なイメージングに適合できるよう、形状と材質の組み合わせにこだわっています。加えて、細胞培養、染色、イメージングなど実験の各工程が効果的に実施できるよう、作業時間を減らし、実験ステップを減少させることにもこだわっています。このため、多くの実験が“オールイン・ワン”でこなせるような仕様となっています。標準的な製品の他に、血管新生、走化性、創傷治癒、または細胞遊走アッセイのような特定の細胞機能解析に特化した製品も用意しています。

オールイン・ワン
チャンバー:
1つのスライド内の
すべてのステップ

ibidiでは、細胞培養から顕微鏡イメージングまでのすべての実験段階を1つのチャンバーで行うことができる容器を“オールイン・ワンチャンバー”と呼んでいます。これを使用することで、細胞培養、固定作業、ライブセルイメージングなどの、日常のラボルーチンを効果的に行うことができるようになります。

マイクロスライド 2 ウェル | マイクロスライド 4 ウェル | マイクロスライド 8 ウェル などは、免疫蛍光染色に使用可能で、培養から顕微鏡観察まで、すべての工程を1枚のスライド上で実施できます。これらの容器は、底面がカバースリップであるため、観察対象をカバーガラスで封入する必要はなく、高倍率の対物レンズ使用時でも、そのまま底面より観察することができます。

少容量で扱いたい場合には、マイクロスライド VI 0.4のようなチャネルフォーマットがより適します。上面がオープンなチャンバースライド同様に、免疫蛍光染色に必要な実験ステップを減少できることに加え、使用する試薬量を削減し、抗体などの費用節約に役立ちます。

オールインワンチャンバー:1つのスライド内のすべてのステップ オールインワンチャンバー:1つのスライド内のすべてのステップ

ibidiの提供するオールイン・ワンチャンバーは、免疫蛍光染色の実験ステップを減少させます。

補足: チャンバースライド、リムーバブル

マイクロスライド リムーバブルチャンバー(3 ウェル | 8 ウェル | 12 ウェル)は、一般的なスライドガラス(厚さ1mm)に、取り外し可能なシリコンチャンバーを接着させた製品です。正立顕微鏡観察および倒立顕微鏡観察、共に使用することができます。、また、封入材とカバーガラスを使用して、サンプルを封入したスライドを作成できるため、免疫蛍光染色後の検体の長期保存が可能です。

細胞培養~免疫蛍光染色の全段階を1枚のスライドで行うことができる点、少数の細胞と少量の抗体しか必要としない点はオープンウェルフォーマットのチャンバースライドと一緒です。

注意:細胞を播種した場合、底面はガラスボトムになります。ガラスボトムは細胞を直接播種して問題ありませんが、培養用プラスティックと比較すると細胞接着力が弱く、細胞を播種する前にコーティングが必要になる場合があります。

Excurse:チャンバースライド、リムーバブル

マイクロスライド リムーバブルチャンバー(3 ウェル | 8 ウェル |12 ウェル)
細胞培養~免疫蛍光染色、正立顕微鏡観察および倒立顕微鏡観察まで全てを行うことができる、着脱自在なシリコン製チャンバーが付いたマイクロスライド。

マイクロスライド リムーバブルチャンバー12 ウェル
を用いた免疫蛍光染色一例

12 ウェル チャンバー,リムーバブルを用いた免疫蛍光法 12 ウェル チャンバー,リムーバブルを用いた免疫蛍光法
12 ウェル チャンバー,リムーバブルを用いた免疫蛍光法

ibidi マイクロスライド リムーバブルチャンバーは細胞培養(上図)、および、免疫蛍光染色後、正立顕微鏡を用いた細胞観察すること(下図)が可能です。

12 ウェル チャンバー,リムーバブルを用いた免疫蛍光法

Madin-Darby canine kidney (MDCK) 細胞の三色免疫蛍光染色
赤: MitoTracker™ Red CMXRosで染色したミトコンドリア、
緑: Alexa Fluor™ 488 Phalloidinで染色したF-アクチン、
青: DAPIで染色した核

チャネルスライド:高い細胞分布の均一性と背景むらのない位相差顕微鏡画像取得を可能にする

均一な細胞分布

ibidi チャネルフォーマットのスライドは、本来、還流培養で使用するために開発された製品ですが、均一な細胞分布を実現するためにも役立ちます。

オープンウェルフォーマットの場合、培地界面にメニスカスを生じるため、細胞分布に偏りが生じやすくなります。これに対し、チャネルフォーマットのスライドは、閉鎖形状です。このため、メニスカスを生じず、チャネル内の細胞密度はスライド内の位置や、細胞播種中および播種後の操作や処理によって偏りを生じません。

この違いを実際に検証するために、オープンウェルフォーマットのマイクロスライド 8 ウェルとチャネル スライド VI 0.4で培養細胞を肉眼および顕微鏡でそれぞれ観察したのが次の結果です。マイクロスライド8ウェルで培養した場合、細胞がウェル中央に偏より、ウェルの淵に近い領域の細胞密度が少なくなっているのがわかります(逆に、ウェルの縁に集まっていたものも一部みられました)。対照的に、マイクロスライド VI 0.4における細胞分布は均一なのがわかります。細胞分布の不均一は、位相差顕微鏡および蛍光顕微鏡、いずれの顕微鏡観察にも影響します。

マイクロスライド 8ウェル

μ-スライド 8ウェル

マイクロスライド VI 0.4

μ-スライド VI 0.4

マイクロスライド 8ウェル(左)と マイクロスライド VI 0.4(右)におけるスライド形状と細胞分布
クリスタルバイオレット染色用いた細胞観察(上)、位相差顕微鏡を用いた細胞観察(中央)および蛍光顕微鏡による細胞観察(下)

結露を生じない

オープンウェルフォーマットの容器をインキュベーターから取り出すとフタに結露を生じる場合があります。この結露は、位相差顕微鏡観察の邪魔になる場合があります。チャネルフォーマットでは、その構造的な特徴より結露は生じず、画像取得の障害になることはありません。

フタなし-結露なし

位相差顕微鏡の背景むらがない

また、オープンウェルチャンバーの培地界面に生じるメニスカスは、位相差顕微鏡観察時における、背景コントラストのむらとなる場合があります。この点においても、チャネルスライドは、チャンバースライドより、位相差顕微鏡観察に適していると言えます。

「顕微鏡技術と培養表面:完璧な組み合わせを見つける」もご参照ください。

最適化位相差顕微鏡

Ph+スライド:
メニスカスフリーの
位相差顕微鏡観察

Ph+(Phese Contrast +)マイクロスライドとマイクロディッシュは、ウェル中央部に特殊な中間プレートが配置されたオープンウェルフォーマットの製品です。培地や試薬の出し入れは、プレート末端の開口部より行います。このプレート下の界面は、チャネルスライド同様、メニスカスを生じません。これにより、メニスカスの影響を受けない位相差顕微鏡を実現します。このようにPh+は、 メニスカスフリーの位相差顕微鏡実現する革新的技術です。

あなたのアプリケーションに応じて、以下のラボウェアフォーマットが選択できます:

Ph+のスライドはメニスカスの影響を防ぎます

マイクロスライド 2 ウェル

μ-スライド 2 ウェル
  • 位相差顕微鏡観察には不向き
  • このムラは蛍光顕微鏡観察には影響しません。

メニスカスの影響一例。光は気相-水相-界面で屈折するため、顕微鏡でのコントラストが悪くなる。コントラストの影響が無い領域は、中央部分のわずかな部分だけである。

マイクロスライド 2 ウェル Ph+

μ-スライド 2 ウェル Ph+
  • 位相差顕微鏡観察に最適
  • 蛍光顕微鏡観察にも最適

Ph+スライドを使用した場合、メニスカスの影響を受けず、コントラストの良い細胞領域が増える。

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