1. ibidiマイクロスライドの原理

カバースリップボトムに関する基礎知識

カバースリップ・ボトム

細胞培養用途で使用されるプラスティック容器の底部は、1mm程度の厚さであることが多い。これは、標準的なカバーガラスの5倍以上の厚みになります。このような容器は、高倍率の顕微鏡観察には適しません。

ibidi社が提供する マイクロスライドマイクロディッシュマイクロプレートは、底面が、薄いカバースリップで構成されており、高倍率顕微鏡観察まで適応できるようになっています。

そのカバースリップ素材として、ibidiポリマーおよびガラスより選択できるようになっています。ibidiポリマーは、優れた光学性能を有しながら細胞接着性が良く、細胞培養~顕微鏡観察の多様なシチュエーションで活躍します。ガラス製カバースリップは、細胞に特別なコーティングが必要な場合や、TIRFSTED, STORMなどの超解像顕微鏡観察で使用する場合に推奨されます。

このような、底面がカバースリップで構成されるスライドは、基本的には倒立顕微鏡で使用します。「顕微鏡技術と培養表面」の章では、様々な顕微鏡技術に応じた、情報を見つけることができます。

#1.5ibidiポリマー
カバースリップ
#1.5Hibidiガラス
カバースリップ
#1.5ガラス
カバースリップ
スライドガラス*
厚さ
180 μm
(+10/-5 μm)
170 μm
(+/-5 μm)
170 μm
(+20/-10 μm)
1 mm
材質 ポリマー D 263 M Schott high precision glass D 263 M Schott high precision glass ガラス
ガス透過率 あり なし なし なし

豆知識: 多くのibidi製品は、なぜ製品名に「μ」がついているのか

"μ" はギリシャ語のアルファベット("Mu")の小文字です。単位接頭語としての"μ" は "micro" の記号として用いられ、100万分の1(10-6)を表します。

ibidi が製品名の多くにμを付けた理由は以下の通りです:

ibidi ポリマー
カバースリップ

ガラスカバースリップボトム

ウシ内皮細胞の免疫蛍光染色画像
赤:MitoTracker™ Red CMXRosで染色したミトコンドリア
緑: Alexa Fluor™ 488 Phalloidinで染色したF-アクチン、
青:DAPIで染色した核

ibidiポリマーカバースリップは、マイクロスライドマイクロディッシュマイクロプレートの底面を構成する薄いプラスティック製カバースリップです。ibidiでは、ほとんどのアプリケーションでibidiポリマーの使用を推奨しています。その厚さは180 μm(+10/-5 μm)であり、ガラス製カバースリップ標準規格でいうNo.1.5に該当します。 油浸オイルにも適合するなど、光学顕微鏡観察に必要とされる要件をすべて満たしており、さまざまな顕微鏡観察方法での使用が可能です。ibidi ポリマーカバースリップは、ガス透過性を有している点も見逃せない特徴です。このため、細胞培養時の容器内部の二酸化炭素や酸素交換が、蓋を閉めた状態でも円滑におこなわれます。ibidi ポリマーカバースリップは、化学修飾やタンパクコーティングすることもできるため、ibiTreat、Bioinert、コラーゲンIVコーティング、Poly-L-Lysineコーティングなど、多様な底面選択を可能にしている点も注目すべき点です。これにより、様々な実験や細胞タイプに応じた、最適な細胞生育環境を提供します。詳しい情報は、この章の「多様なibidiマイクロスライド底面」でご覧ください。

ガラスカバースリップボトム

ibidiでは、ホウケイ酸カバーガラスボトムのマイクロスライドも提供しています。これらは、特に、TIRF、超解像顕微鏡観察、一分子顕微鏡観察用途で提供しています。

ibidiでは、精細な顕微鏡観察に対応するために、厚さ幅の少ない(170 μm+/-5mm)D 263 M Schott glass coverslipsを採用しています。この厚さはガラス製カバースリップの標準規格#1.5Hに該当します。

※ガラスボトムの容器では、培養用プラスティックと比較すると細胞接着力が弱く、時にコーティングを必要する場合があります。またガラスカバースリップはガス透過性がない点も違いとして挙げられます。

このガラス製カバースリップが採用された製品は、
以下の通りです。

また、ibidiでは、汎用品ガラスボトムディッシュとして、厚さ170 μm(+20 μm/-10 μm 標準規格#1.5)ガラスカバースリップボトムのタイプもあります。費用対効果の良いディッシュとしてご使用ください。

油浸オイル適合性

ibidiラボ製品の油浸に対する適合性 ibidiラボ製品の油浸に対する適合性

油浸オイルは、顕微鏡の分解能を、物理的限界に高める際、用います。油浸オイルは、対物レンズとカバーガラス間の空間を、空気の代わりに満たし、レンズの集光能を向上させます。これにより、取得画像の解像度とS/N比を向上させます。このため高倍率顕微鏡観察用スライドは、油浸オイル適合であることが理想的です。

ibidi マイクロスライド、マイクロディッシュ、マイクロプレートで使用されているibidiポリマーは、油浸オイルに適合し、この点からも顕微鏡観察に適した素材と言えます。

ibidi製品に適合する油浸オイルについては、ibidi のWEBサイトをご覧ください。

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